Design from ahed 2013
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3design from ahed 2013ahedのデザインとデザイナーを紹介───1「増殖」というコンセプトで「まちに開く」動物病院をつくる神領ビーイング動物病院動物病院開業に当たって、みなさんの気持ちの中に、どのような病院にしたいかという想いがあるかと思います。その想いを建築化することがわれわれの仕事です。その想いこそがコンセプトというものです。紹介する動物病院は「まちに開く」というコンセプトで設計されています。「まちに開く」ことで、建物がまちの顔となり、人々が集まる場所となっていきます。はじめての土地で開業するに当たり、できる限りまちに開き、地域の動物病院でありたいという想いがあることが見えてきました。そのことを踏まえて、適度に気持ちよく外側に開く建築デザインを採用しました。この計画においてもっとも注意した点は、病院機能としてどうしても閉じなければいけないところ以外は、外からできるだけ見えるようにしたことです。待合室は全面開放し、その他の部分はちらちら内部の様子がうかがえるよう窓を配しています。  敷地は、幅が広く交通量の多い道路に面しています。動物病院の所在を知らせるのは、建物そのもののデザインです。閉じる必要がある部屋を9つの黒い箱に収め、間隔を空けて並べ、それらの箱の上に浮くように大きな屋根を掛けています。箱と箱、箱と屋根の隙間は窓となり、中の様子や照明の灯りがそこから漏れ出します。その外観によって、建物を目立たせ、人の目を惹きつけるようにデザインしました。  計画に当たり、苦労した点は、閉じながら開くということでしょうか。9つの箱に閉じるべき部屋を収め、それらの間に空隙を設けながら、病院としての機能を簡潔にしていくのには何度もプランニングをスタディする必要がありました。その甲斐あって、明確な動線計画が実現できたと思います。岡村泰之 岡村泰之建築設計事務所 代表 1960年鳥取県出身。芝浦工業大学大学院修士課程修了。藤井博巳建築研究室、SKM設計計画事務所を経て、1988年に第四建築設計社共同設立、その後岡村泰之建築設計事務所に改称。2010年より芝浦工業大学非常勤講師。 敷地条件と諸々の設計条件をクリアして、クライアントの想いを具体的なイメージとして提示し、その場所でしかありえない、かけがえのない豊かな空間をつくりだすことが私の仕事だと思っています。http://www.amy.hi-ho.ne.jp/okmr/

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