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14ahedが動物病院のコンサルティングをはじめて20年。動物病院がどんどん増えている時代であった10年ほど前までは、開業にはさほど困難がありませんでした。ペットの数も増えていたので、開業すればほぼ順調に進んだものです。ところが5年前ぐらいから、動物病院は飽和期を迎えつつあるのか、新規開業よりもこれまで継続して実績を上げてきた獣医さんの移転のご相談を多く受けるようになってきました。そこで今回、質の向上を求めて移転をされた先生のお話をうかがいました。フェレットにかかわる岡田●倉田先生とのお付き合いは12年になりますが、なぜ獣医師になられたのかお聞きしたことがありません。まず初めに、そのあたりからおうかがいしたいと思います。倉田●ありきたりですが、父が小動物の開業医だったんです。それが、出発点です。ですから、小学生の卒業文集に将来の職業は「獣医さん」と書いたほどで、当然のように大学も獣医学科を選びました。ところが、大学に入って周りをみると、開業するということの厳しさなどもだんだんみえてきて、自分には向いてないのかなという考えも出てきました。それよりは企業への就職のほうがいいのではないかと、研究室も臨床系ではなく基礎系を選んで免疫学の研究をしていました。ですが、大学4年のときに父が病気で倒れ、それを機に小動物の臨床に舵を切ったのです。 その後卒業して、1年ほどは父の懇意にしていた獣医のところで診療に携わり、それから再起をめざした父の手伝いをしたのですが、いろいろあって結局は廃業してしまいました。それでペットの販売会社に就職し、最初は会社が扱っている生体の管理をしていました。最終的に会社が設立した動物病院の院長となり、その後、会社が販売を始めたフェレットのケアをするということでフェレットの診療にかかわるようになったのです。岡田●先生に初めてお会いしたとき、私はフェレットがどいうものかまったく知りませんでした。「いたち」だと教えていただき、「いたち」って飼えるんだと驚いたことを覚えています。12、3年前、フェレットはまだ一般的ではなかったと思います。倉田●私も、そこで初めてフェレットをみたのですが、こんなに増えるなど思いませんでした。ただ、鳴き声をほとんど出さないということと、昼間フェレットだけゲージの中に入れておいてもそれほど問題がないということから、日中仕事などで家に誰もいなくなる人たちのニーズにあったようです。今もその流れは続いていて、フェレットには独特の魅力があるようです。ただ診療に際しては、そのころフェレットについての文献は国内にはありませんでした。最初はアメリカの文献を参照しながら診療していたような状況です。エキゾチックアニマルを武器に新規開業岡田●そんななかで開業されようと思われたわけですが、お住まいのあるこの高津で開業するということで、いろいろと問題もありました。ですが、偶然が味方をしてくれて、その後は順調に事が運びました。今回の移転でもそうですが、先生は、場所とその場についている人に恵まれているような気がします。倉田●ほんとうに、ありがたいと思います。岡田●そうして開業されたわけですが、コンサルタントとして当時は、正直いってフェレットについてはよくわかりませんでした。ですが、開業の日からもう患者さんが待っていてくれました。最近では、新規開業の当日に2組来ればいいというような状況ですが、倉田先生の初日の待合室には患者さんがたくさんいたのを覚えています。倉田●初日は20何人か来ました。その後も、少なくとも10人ぐらいずつは来ました。岡田●私にとっては、エキゾチックアニマルが仕事として成立するということが、発見でした。ほかの獣医さんたちは、どちらかというと犬猫限定という方が多かったなかで、倉田先生は、エキゾチックアニマルを対象として動物病院がやっていけることを証明してくれました。ですから、私たちがコンサルティングをして開業される先生が、エキゾチックアニマルを診療するかしないかは非常に気になります。犬猫だけを対象とするのであれば、腫瘍科とか眼科とか、何か専門の科をもっていないと、周りと同じなので差異化が難しいのです。 倉田先生のこの10年間というのは、メンテナンスなどをはじめとしていろいろとお付き合いさせていただきましたが、すごく安定していたように思います。新規開業の立ち上がりで、こんなに心配をしなかった先生は少ないです。エ進化する動物病院づくりのパートナーとして継続、そして未来に向かってともに歩む座談座談同席/ahed design 担当株式会社エイバンバ建築家番場俊宏(写真右) 株式会社デザインコンビビアグラフィック・デザイナー岡野祐三くらた動物病院 院長倉田英樹(写真左)ahed 代表 岡田雅人 (写真中央)

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