Design from ahed 2013
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design from ahed 20137移転・新築。そして…その次への「きっかけ」も内包した病院建築くらた動物病院ahedのデザインとデザイナーを紹介───5番場俊宏 abanba(株式会社エイバンバ) 代表 1978年神奈川県生まれ。2002年東海大学工学部修了。2002シーラカンスアンドアソシエイツ入社。組織改編に伴い2005年~2010年小泉アトリエ勤務。2011年abanba設立。建築、インテリア、プロダクトのデザインプロジェクトが同時進行中。 分野に固執することなく、様々なものの関係性や有りかたをデザインしたいと考えています。http://www.abanba.jp/動物病院の新規、移転開業にあたり、とても大きく漠然としたものから、些細なことまで、たくさんの実現したい夢があると思います。私たちは、それらを整理し、関わる人たちが目標とできるようなコンセプトを練り上げ、建築や空間のデザインとしてとりまとめていくことで、夢の実現をお手伝いしていきます。くらた動物病院は、駅前の密集地に建つ、住宅と動物病院が一体になった建物です。 敷地は幅の狭い私道の突き当り、四周を建物に囲まれた、動物病院の開業には不向きな条件の場所にあります。しかしながら、近隣にくらべて地価が低く、当初の予定よりも土地を広く安価に手に入れることができたため、建物の建設等に十分に費用をかけることができました。院長先生はお話合いの中で、「スタッフの働きやすさ」「病院機能の拡充」を今回の移転新築の一番の目的として明確にされたため、この敷地での開業が実現したのです。 建物の設計においては、病院の機能は建物の中心に集め、その周囲に路地のような細長い空間をめぐらせています。この路地のような場所は、動線や機能を拡張するための空間であるとともに、視線や音などの干渉帯となり、周囲と緩やかな関係性を作り出しています。また開口部を大きくとることで、半屋外のような場所となり、地下の待合室をはじめ、明るいサンルームに囲まれたような空間とすることができました。またこうした構成とすることで将来の増築へも柔軟に対応することのできる建物となっています。
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